「竜の道(上・下)」 白川道(著) 目的は復讐と君臨ー。裏社会と官僚世界でのし上がる双子

幻冬舎文庫 各648円 初版発行2011年4月15日
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矢端竜一は魑魅魍魎が蠢く裏社会の支配を目論んだ。手始めに、株の業界紙を発行する新聞社に潜り込み、その乗っ取りに成功する。億を超える金に群がるクズ共を冷徹に操る竜一は、大物ヤクザ・曽根村の信頼を勝ち取るべく、殺人にまで手を染める。野心の塊のような竜一の疾走。それは、双子の弟・竜二と交わしたある約束を果たすためだった…。
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矢端竜二は、エリート官僚の世界に飛び込んだ。兄・竜一との約束―ある大物実業家への復讐―を果たすために。表と裏から攻めて、あいつを叩き潰す…。第二、第三の殺しに手を染める竜一、企みを抱いてある女を篭絡する竜二。金と欲が行き交う修羅の道を鋼の意志で突き進む双子が行き着く先は?息苦しいほどの命の疾走を描いた傑作長編。
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上巻に関しては再読となるが、全く記憶になく新たな読み物として新鮮さを感じる。
当時、この本を手にしたのはやはり株を題材にした復讐劇であり、仕手とういう言葉に興味を覚え購入した。
著者の作品は初めてであるが、実に面白く完読する。そして、ストーリーも双子の兄弟が織りなす表と裏、兄は裏社会で暗躍し弟は官僚として表の世界で、兄弟の目的を遂げんと目論む。この展開が既に物語に強弱を持ち読み手を飽きさせない。
話はそれるが、私の好きな漫画に池上遼一の「サンクチュアリ」がある。こちらも兄弟で表の社会と裏の社会で君臨し、そして社会を変えようと暗躍する。舞台は正直そっくりな展開である。しかし、活字の著作はまたハードボイルドとしての醍醐味に十分で、全く別の物語となっている。
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著者の別作にはまだ、触れていないが著者の略歴をみてびっくりする。
1945年北京生まれ。一橋大学卒業後、様々な職を経て、80年代のバブル期に株の世界に飛び込み、大いなる栄光と挫折を味わうとある。
電機メーカー・広告代理店・先物取引の会社勤務を経て、旅行会社・書店を起業するも失敗する。その後妻の父の会社で役員を務めるも離婚により、投資顧問会社勤務を経て自ら起業し億の金を動かし、1年間に1奥円を使いきるような生活を送る。投資ジャーナルとも関わり違法行為で懲役3年の実刑判決。これを契機に小説の世界に本格的に入り、以降ハードボイルドの新騎手として活躍する。競輪マニアでもあるとのこと。2015年4月に69歳で他界している。
まるでこの略歴を見るだけでも小説の世界である。波乱万丈を地で行く生き方で、読んでいて真に迫る興奮はこの裏付けにあるような気がする。
続編があるので、近日中に是非読んでみたい。当分は「白川道」のファーンになりそうである。

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