「逢えるかも知れない」 記憶喪失の青年の単独行、愛することの切なさを讃うサスペンスロマン

ジェームス三木(著)340円 集英社文庫 初版発行昭和61年6月25日(1986年)
一人の青年が丹沢山で記憶喪失の状態で発見された。手掛かりは素晴らしい迫力のトランペットと流暢な英会話ー。親切な江田刑事と娘ミズエの助けを受けながら、青年の過去を求める単独行が始まった。だが、行く手を阻む黒い魔手、そしてその向こうに見えかくれする大実業家夫人の不可解な動き・・・。愛することの切なさと歓びを見事に讃う長編サスペンス・ロマン。
目次
1、プロローグ
2、消え失せた過去
3、ヘイ!バード!
4、誰かが狙っている
5、旅の宿り
6、父と娘
7、過去への橋
8、傷跡
9、ブルー・ノート
10、愛に似て
11、招待
12、からみ合い
13、断崖
14、拒絶
15、深まる闇
16、罪
17、過去は過去をして語らしめよ
18、逆転
19、失われたものへの旅
20、顔の無い鳥のブルース
感想
あっという間に読み切ってしまった。話の展開が実に早く、テンポの良さに引き込まれていた。そして読み終えた今、何とも言えない温もりを残す余韻に浸っている。著者が脚本家だからなのか、読みながらまるでドラマのような映像が浮かんで来る。まだ、他の作品は読んだことがないが、連続テレビ小説「澪つくし」、大河ドラマ「独眼竜政宗」を輩出した経緯から考えれば、それも当然なのだろう。
昭和61年の作品にしても、全然時代的遜色を感じさせない。それだけに今読んでも面白。
実はこの本は、今から10年前にも一度読んでいる。再読にはなるが、ストーリーは全く覚えていなかった。それだけに新鮮さを感じて読むことができた。

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です