「ビット・トレーダー」 樹林伸(著)人生も株も「底」を打った男が、家族の絆を取り戻すため、人生をかけた大勝負に挑む!経済犯罪小説。

幻冬舎文庫 800円 平成22年4月10日(2010年)初版発行
電車事故で最愛の息子を失った男。慰謝料を株に突っ込み大当たりした日から人生は激変した。増え続ける金、愛人との生活、妻や娘との不和。ある日、会社の倒産情報と空売りの裏取引を持ちかけられた男はその誘いに乗るのだが・・・。人生も株も「底」を打った男が、家族の絆を取り戻すため、人生をかけた大勝負に挑む!超一級の経済犯罪小説。
メガヒット連発の漫画原作者が、超一級の経済犯罪小説で殴り込み!
目次
プロローグ 2001年初秋
第一章 マネーゲーム
第ニ章 空売り
第三章 追い証
第四章 含み損
第五章 成行
第六章 気配
第七章 約定
第八章 大引け
「相場は、悲観と絶望の中で底を打ち、懐疑と共に育ち、楽観の中で天井を打ち、幸福感と共に消えていく」ウォール街の格言より
感想
株を題材にした本は数限りなくある。企業小説・推理小説とこの資本主義がある間は永遠の題材として世に送り出されていくことだろう。
そして、これだけ多くの本が出版される背景には、ある意味テーマとしては小説として創りやすいからなのではないだろうか。推理小説のように緻密な細工はなくとも、株の売買・受給・業績・世情等を絡ませれば、作者の思うようなストーリーを描きだせる。本作品もそれなりの株売買のリアルティーはあるものの、表面的でもう少し突っ込んだ専門性を持たせて欲しかった。
文中の”株で言えば底打ちが近いのでないか。株価というのは、倒産しない限りいつか下げ止まる。コツン、と音がして底を打ったことが投資家の多くに感覚として伝わり、それから短期の上げ下げを繰り返しながらも決して底値は下回らずにトレンドは上に向いていく。人生も同じだ。生きてさえいれば、いつかは底を打つ。”は違う意味で心に残っている。
さて本作品は表題のトレーダーとは異なり、最終的には空売りを主体にしたインサイダーだと思える。ビット・トレーダーとしての終結は基本当日が原則であるがこの法則を変更し、それも買いではなく売りに挑む。空売りの鉄則は小型株や浮動株の少ない銘柄を避けることがまず必定。それなりのハイリスク・ハイリターンなのである。私も時折、空売りはするがこの様な銘柄では触手はのびない。しかし、小説としては分裂した家族の再絆を取り戻すための葛藤を描き、あっと言う間に読み切ってしまった。

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