長谷寺 奈良県 現世での幸せを祈る観音信仰
住所:奈良県桜井市初瀬731-1 TEL:0744-47-7001
拝観料:500円 駐車場:有500円
拝観時間:8時30分~17時00分(4月-9月) 9時00分~17時00分(10月-11月・3月)
9時00分~16時30分(12月-2月)※牡丹まつり期間等時間延長あり
アクセス:近鉄長谷寺駅から徒歩25分
住所:奈良県桜井市初瀬731-1 TEL:0744-47-7001
拝観料:500円 駐車場:有500円
拝観時間:8時30分~17時00分(4月-9月) 9時00分~17時00分(10月-11月・3月)
9時00分~16時30分(12月-2月)※牡丹まつり期間等時間延長あり
アクセス:近鉄長谷寺駅から徒歩25分
”長谷寺はまた、別名「花の寺」とも呼ばれている。
”花の寺 末寺一念 三千寺”(高浜虚子)
三千寺とは長谷寺が真言宗豊山派総本山で、約三千の末寺があることを示す。静寂でひっそりとしている寺は、それはそれでいい。でも、この長谷寺のように市井の喧噪を感じさせる寺もまたいい。
この寺の本尊の十一面観音菩薩が、法華経のなかの観音経では観音菩薩は衆生のあらゆる危難に応じてさまざまな姿に変化し、救い願いをかなえ教化を行うとされている。これは大乗仏教の思想で考えられた他の仏とはかなり違う。大乗仏教の仏はさとりの境地への象徴としての「浄土」を信仰の中心としていたからだ。わかりやすくいえば、観音信仰は「浄土」ではなく「現世」の利益を祈願することに結び付いている。
平安時代には観音信仰の霊場になり、官寺に準じる寺とされた。現在の本尊は室町時代に東大寺仏師の実清良覚の手でつくられたもの。高さが十メートルあまりある本尊は、木造仏では日本最大級の大きさ。ちなみに東大寺の大仏は銅造仏で、約十五メートルの高さがある。この十一面観音菩薩は「長谷寺式」と呼ばれる独特のすがたをしている。左手には観音像らしく宝瓶をもち、右手には地蔵像のような錫杖と念誦珠をもっている。それは観音と地蔵菩薩が合体したものらしい。
地蔵菩薩は僧侶のすがたをしていて、杖を片手にとことこ歩き、人びとを救済する菩薩である。「お地蔵さん」として親しまれている庶民的な存在だ。一方、観音菩薩は人びとを救済することによって修行して、如来になろうとする存在である。それを一般に「仏さま」と呼ぶ。
有名な七千株の牡丹の花にもこんな言い伝えがある。中国の唐時代の皇后・馬頭夫人は顔が長く鼻が馬に似ていたため、馬頭夫人と呼ばれたらしい。その馬頭夫人が日本の長谷観音の霊験あらかたなることを聞いて、なんとか美しくなれるようにと毎日、長谷寺に向かって祈祷をした。すると素晴らしい美女になれたというのだ。そのお礼に彼女は宝物とともに牡丹を数株寺献納した。それが今の長谷寺の牡丹園の始まりだという。
現在は真言宗の豊山派総本山で末寺は三千寺あまり、壇信徒は約三百万人だという。平安末期、西国三十三所の観音霊場が成立した。そのコースは、一番の熊野の那智の青岸渡寺から、近畿地方一円をめぐって、岐阜の華厳寺を三十三番として終わる。いわば観音さまの救済を願う人びとのための巡礼コースである。伝説によれば、この観音霊場巡礼の風習をはじめたのは、長谷寺の徳道という僧だという。
三十三という数字は観音経で観音菩薩が三十三の化身をして人びとを救うという数字からきている。西国三十三所・坂東三十三所・秩父三十四所の三コースで、全部で百カ所の観音霊場を巡礼する「百観音巡礼」というのもある。ちなみにこれとは別に「お遍路さん」と呼ばれるのが、弘法大師ゆかりの霊場を巡る四国八十八カ所だ。(百寺巡礼:五木寛之より)”
平成28年5月1日(2016)
東大寺・春日大社を回った跡、少し遠い長谷寺まで足をのばす。各駐車場も混雑を極め、また参道入り口付近の駐車場は料金も少し高めになっているので参道入口より離れた所に停める。駐車している車のナンバーもさすが長谷寺総本山だけあって全国各県から来ている。参道も少し遅めだったにも関わらず、やっぱり混んでいた。両側にお土産屋さんや食事処があるなか、他ではあまり見られない牡丹の植木が各場所に散在して売られている。これだけをもってしてもここ長谷寺が「花の寺」といわれる所以がわかるような気がする。
長い参道を通り過ぎ参拝受付を済ませ仁王門までたどり着く。
この仁王門は長谷寺の総門で、入母屋造本瓦葺の楼門であり両脇には仁王像、楼上に釈迦三尊十六羅漢像を安置しているとのこと。
この仁王門をくぐると登廊が現れる。しゃがんで下から覗き込んでも先が見えないほどの長さと急こう配の階段である。
この日、長谷寺では「ぼたんまつり」が開催されていた。例年4月中旬から5月上旬であり見頃と思われたが時期的には少し遅かったようである。しかし、まだ蕾のまま花を咲かせていない株もありこれからも楽しませてくれるのだろう。牡丹の花は少し寂しげであったが、それでもここが牡丹で有名なお寺さんとわかる。ここが満開になるころはさぞかし豪華絢爛なことだろう。
伝承に伝わる「馬頭婦人」や「わらしべ長者」などの話を思い浮かべる。
百八間、両側に風雅な長谷型の灯籠を吊るしている399段の上中下の登廊の先に本堂がある。
本堂は山中腹の断崖絶壁に舞台造りされた大殿堂だった。実に見晴らしが良い。正面(内陣)は入母屋造本瓦葺で、また礼堂(外陣)は正面入母屋造本瓦葺である。
十一面観音を本尊とし「長谷寺」と名乗る寺院は鎌倉の長谷寺をはじめ全国に240寺ほどあるらしい。
本堂より大黒堂、弘法大使御影堂をへて五重塔に行く。
そこから奥の院へまわる。奥の院からの全景も素晴らしく無理してでも遠くここまで来て良かったと思う。