百寺巡礼

五木 寛之 「百寺巡礼」

何時のことか、TVで五木寛之の「百寺巡礼」を何気なく見ていて、今まで興味もなかったものが急に面白く、また感慨深くこの本を購入する。そして、何時しか私も百寺を巡礼したいと思うようになり、少しの知識を入れようとメモを取るようになる。学生時代を京都で過ごし、身近な存在として寺院と触れ合ってきたものの、今まで行ったことのある寺も少しの知識があるだけでも、また違った思いに耽ることができる。
五木寛之の言う「遊行期」には、今の私にはまだ早い気もするが、古寺名刹には不思議なエネルギーもあり、心が向くままに「遊行期」を迎える準備ができれば良いような気がしている。

第1巻 奈良」 講談社文庫 初版発行2008年9月12日

古寺・名刹のある場所には、不思議なエネルギーがある。それを体で感じ、新しい命を悠久の歴史に思う。大1巻は古の都、奈良。小雪の舞う室生寺、聖徳太子の強く深い思いが込められた法隆寺。優しさといまに伝える中宮寺の半跏思惟像、「苔の海」が輝く秋篠寺。私の「百寺巡礼」の旅が始まる。
「百寺巡礼の旅のはじめに」
寺にも仏像にも、建築にも、ほとんど無智のまま私は旅に出た。なにかを学ぶためではない。何かを感じるだけでいいのだ、と思ったからである。この旅の途中でもし死ぬことができたとしたら、それこそが私の遊行期ではあるまいか。

01:室生寺   奈良県 女たちの思いを包みこむ寺
02:長谷寺   奈良県 現世での幸せを祈る観音信仰
03:薬師寺   奈良県 時をスイングする2つの塔
04:唐招提寺  奈良県 鑑真の精神が未来へ受け継がれていく
05:秋篠寺   奈良県 市井にひっそりとある宝石のような寺
06:法隆寺   奈良県 聖徳太子への信仰の聖地
07:中宮寺   奈良県 半跏思惟像に自己を許されるひととき
08:飛鳥寺   奈良県 日本で最初の宗教戦争の舞台
09:當麻寺   奈良県 浄土への思いがつのる不思議な寺
10:東大寺   奈良県 日本が日本となるための大仏

第2巻 北陸」 講談社文庫 初版発行2008年10月15日

大和から始まった旅は、北陸の地へ。
こころの視界が広がり、見えないものが見えてくる。何百年も受け継がれてきた阿岸本誓寺の茅葺きの屋根、ギラリと白く輝く瑞龍寺の鉛瓦、職人の心意気を感じる木彫り伽藍の瑞龍寺ーそして、道元の寺、永平寺。日本海を望む至福の旅へ、さあでかけよう。
「北陸を旅して」
素朴な茅葺き屋根の寺も、堂々たる鉛瓦の大寺も、私にとってじつに新鮮で感動的な風景だった。
寺、という一点を通して、日本というもの、日本人のこころというものが、むこうから近づいてくるような感じがした。北陸十ヶ寺を巡り終えて、大和ー国のまほろばから眺めたこの国と異なる世界が、はっきりと見えてきたように思われたのだ。

11:阿寺本誓寺 石川県 茅葺き屋根にこめられた信心
12:妙成寺   石川県 城のような寺と異色な画家
13:那谷寺   石川県 罪を荒い流し、生まれ変わる寺
14:大乗寺   石川県 現代人のこころを癒す修業道場
15:瑞龍寺   富山県 壮大な鉛瓦とつつましやかな花々
16:瑞泉寺   富山県 門徒の寺内町から工(タクミ)の門前町へ
17:永平寺   福井県 生活こそは修業という道元の教え
18:吉崎御坊  福井県 蓮如がつくりだした幻の宗教都市
19:明通寺   福井県 武人の祈りが胸に迫る寺
20:神宮寺   福井県 神と仏が共存する古代信仰の世界

第3巻 京都Ⅰ」 講談社文庫 初版発行2008年11月14日

永遠の古都でありつつ、最も前衛的な都市でもある京都。権力者の欲と孤独を伝える金閣寺。懐深き南禅寺。「いのちの物語」をイメージさせる浄瑠璃寺。あまりに有名な清水寺が教える、日本の寛容さ。法然上人の教えを奉じ、親鸞聖人に勇気づけられる。知らなかったこの街の不思議な魅力をともに。
京都という街には、不思議な魅力がある。それは歴史が古いというだけのことではない。永遠の古都で有りつつ、この日本列島で最も新しいものに貪欲な都市が京都なのではあるまいか。

21:金閣寺   京都府 眼もくらむような亀裂に輝く寺
22:銀閣寺   京都府 暗愁の四畳半でため息をつく将軍
23:神護寺   京都府 二つの巨星が出会い、別れた舞台
24:東寺    京都府 空海がプロデュースした立体曼陀羅
25:真如時   京都府 物語の寺に念仏がはじまる
26:東本願寺  京都府 親鸞の思いが生きつづける大寺
27:西本願寺  京都府 信じる力が生みだすエネルギー
28:浄瑠璃寺  京都府 いのちの尊さを知る、浄瑠璃浄土
29:南禅寺   京都府 懐深き寺に流れた盛衰の時
30:清水寺   京都府 仏教の大海をゆうゆうと泳ぐ巨鯨

第4巻 滋賀・東海」 講談社文庫 初版発行2008年12月12日

豊かな水をたたえる琵琶湖に抱かれた近江の国へ。
三井寺の霊験あらたかな泉や、永保寺を囲む奇岩巨石。
名刹、延暦寺を深い霧で包み込む深山幽谷。
石山寺では蓮如と母の哀切な物語に出会い、百済寺では亡き故郷を望む渡来人の心に思いを馳せる。
鐘の音とともに伝わり来る、数千年の時の流れを感じて。
ガソリンスタンド、コンビニ、ファーストフードの店などが地方の風景となりつつあるいま、寺のある場所はなんとか往時の姿と自然を残してなつかしい。全国に七万数千の寺があるということが、この国の自然と風景をかろうじて守っているような気がする。

31:三井寺   滋賀県 争いの果てに鐘は鳴り響く
32:石山寺   滋賀県 母の思いと物語に救われる寺
33:延暦寺   滋賀県 最澄の思いが息づく霊山
34:西明寺   滋賀県 焼き打ちから伽藍を守った信仰の力
35:百済寺   滋賀県 生きものの命が輝く古刹
36:石塔寺   滋賀県 「石の海」でぬくもりを感じる寺
37:横蔵寺   岐阜県 最澄と山の民ゆかりの「美濃の正倉院」
38:華厳寺   岐阜県 人びとが生まれ変わる万願の寺
39:専修寺   三重県 「念仏するこころ」という原点
40:永保寺   岐阜県 「座禅石」で覚えたふしぎな感覚

第5巻 関東・信州」 講談社文庫 初版発行2009年1月15日

喧噪の巷から一歩入った境内には大きな空が広がる。江戸の賑わいを今に伝える浅草寺。漁師の篤い信仰が支えた築地本願寺。寅さんへの憧憬を込めて眺める柴又帝釈天。鎌倉武士たちの孤独を癒した建長寺や円覚寺。阿弥陀如来との結縁を果たす善光寺。江戸・鎌倉・信州。真実の街の姿をいま、目のあたりに・・・
宗教とは自利利他の世界である。衆生の日々の暮らしや社会生活とかけ離れて、真の自己完成はありえないのではないのか。山中の寺であっても托鉢や回遊行など人々との交流を大切にしているのはそのためだろう。関東には、奈良や京都の古寺よりもはるかに古い歴史をもつ寺々が少ないのである。

41:浅草寺   東京都 熱と光と闇を包む観音信仰
42:増上寺   東京都 念仏のこころと東京タワー
43:築地本願寺 東京都 埋立地に立つエキゾチックな寺院
44:柴又帝釈天 東京都 寅さんの街に佇む古刹
45:成田山   千葉県 聖と俗が混ざりあう庶民信仰
46:建長寺  神奈川県 中国僧が武士に伝えた禅
47:円覚寺  神奈川県 明治の文学者たちを癒した寺
48:高徳院  神奈川県 多くの謎と武士の祈りを秘めた大仏
49:久遠寺   山梨県 情にあつく、さびしがり屋の日蓮像
50:善光寺   長野県 濁る川に生きる覚悟をする寺

第6巻 関西」 講談社文庫 初版発行2009年2月13日

俗世を離れた山中の寺、人とともに生きる市井の寺。すべてが融け込む西国の旅へ。ここには聖なる高野山があり、「黄泉の国」と呼ばれる熊野がある。千四百年の時を超え、庶民に愛される熊野がある。千四百年の時を超え、庶民に愛される四天王寺があるー。
安珍と清姫の道成寺、花と星の観心寺、西行ゆかりの弘川寺。すべての名刹で紡がれてきた「物語」を感じよう。

51:高野山   大阪府 空海が猟師から譲り受けた聖地
52:青岸渡寺 和歌山県 海の浄土と山の浄土のつらなり
53:道成寺  和歌山県 女性の情熱と強さを伝える物語
54:粉河寺  和歌山県 焼き討ちから甦った寺になごむ心
55:観心寺   大阪府 心惹かれる3人の足跡が残る寺
56:弘川寺   大阪府 西行と役行者を結ぶ山
57:鶴林寺   兵庫県 勇ましい聖徳太子と愛らしい聖観音
58:亀山本徳寺 兵庫県 往時の宗教都市の面影が生きる寺
59:大念佛寺  大阪府 衆生のもとへ歩み寄る本尊
60:四天王寺  大阪府 すべてを包み込む「和宗」の祈り

第7巻 東北」 講談社文庫 初版発行2009年3月13日

みちのくの地に、輝く闇を求めてー。
平泉で生まれて消えた幻の黄金峡。都から遠く離れ、奥州藤原三代がみた夢の跡を偲ぶ、中尊寺と毛越寺。山間に隠された桃源郷、恐山での胸を突かれる死者との邂逅。そして美しい松島と瑞巌寺から彼方の浄土を想う。この深く静かで強い大地から、心の安らぎが匂い立つ。
今回の東北の寺々を回る旅は、これまでの近畿や関東の寺々とどこか異なる予感のようなものを抱きながらの旅だった。仏教王国における仏教の姿よりも、みちのくに投げ込まれた仏教の法が、かえってその姿が明確にあらわれ出てくるように思われた。

61:山寺    山形県 1人の僧がもたらした1200年の法灯
62:中尊寺   岩手県 みにのくの黄金郷に鳴る青い鐘
63:毛越寺   岩手県 壮大な伽藍の跡と老女の舞
64:黒石寺   岩手県 薬師如来像に浮かぶ苦渋の色
65:瑞巌寺   宮城県 神聖な石窟と伊達家の栄華
66:勝常寺   福島県 庶民が慕った、最澄の好敵手
67:白水阿弥陀堂 福島県 泥中の蓮の花のように
68:本山慈恩寺 山形県 そこにあった信仰と新しい信仰
69:長勝寺   青森県 「じょっぱり」の地に立つ名刹
70:恐山    青森県 北の山に死者の霊が帰る

第8巻 山陰・山陽」 講談社文庫 初版発行2009年4月15日

日本海と瀬戸内海に囲まれたこの地は、多くの文化を受け入れてきた。中国の黄檗宗の面影を感じる東光寺。
天下随一の奇観、三佛寺投入堂。
「暗夜行路」の舞台・大山寺と森鴎外の眠る永明寺。
凛然と聳える瑠璃光寺の塔を見ながら、尾道、出雲、萩、津和野-歴史を動かした土地の息吹を感じる。

71:三佛寺   鳥取県 役行者が建てた断崖の堂宇をめざして
72:大山寺   鳥取県 霊山を仰ぎ、神仏を信仰する寺
73:清水寺   島根県 山陰の「キヨミズさん」に幟がはためく
74:一畑薬師  島根県 「目のお薬師さま」に詣でる人びと
75:永明寺   島根県 津和野の歴史を物語る小寺の静けさ
76:東光寺   山口県 萩の町にたたずむ中国風の菩提寺
77:瑠璃光寺  山口県 嵐の翌日に見た五重塔の美しさ
78:阿弥陀寺  山口県 東大寺を再建した老僧のパワー
79:浄土寺   広島県 海の見える寺に息づく共生のこころ
80:明王院   広島県 「東洋のポンペイ」と隣りあった古寺

第9巻 京都Ⅱ」 講談社文庫 初版発行2009年5月15日

伝統の中に新しい時代を、賑わいの中に信仰を、観光客の群れ集う片隅に静寂をー
再び訪ねた京洛で歴史絵巻を見るような感動にひたる。大原の三千院、念仏の故郷・知恩院、専修念仏の修行道場・法然院。紅葉鮮やかな永観堂や東福寺。変わらない寺の魅力をいま、この古都で。
喧噪のなかの静寂
百寺巡礼の旅が半分の五十寺をこえた頃、訪れたお寺の住職に「五十で半分終わったと思ってはいけません。九十をこえてようやく折り返し点にたどりついたと考えなければ」
人も変わる。世間も変わる。風俗も町のたたずまいも、みな激しく変わっていく。そんな転変のなかに寺と寺をとりまく風景だけが歳月をこえて生き続けている。
そこに身をおくことで、私たちは時間の流れの外側に立つような、普段は感じることのできない世界に触れることができる。
思えば数多くの寺をめぐり歩くことは、永遠の旅の序章にすぎないともいえる。

81:三千院   京都府 声明が響く隠れ里
82:知恩院   京都府 壮大な伽藍に念仏の水脈が流れる
83:二尊院   京都府 送る仏と迎える仏がならぶ寺
84:相国寺   京都府 著名な人びとを惹きつけた禅宗の魅力
85:萬福寺   京都府 中国僧の思いが生きつづける大寺
86:永観堂   京都府 紅葉のむこうの「みかえり阿弥陀」・・
87:本法寺   京都府 「なべかんむり日親」の伝説を支える力
88:高台寺   京都府 戦国女性の思い出を包む堂宇
89:東福寺   京都府 紅葉の橋を渡る人びとと大伽藍
90:法然院   京都府 念仏の原点に戻ろうとする寺のいま

第10巻 四国・九州」 講談社文庫 初版発行2009年6月12日

大和奈良から始まり、そして百寺を訪ねる旅は、いま、四国九州で完結する。
お遍路の寺を巡り、未知の仏像の魅力を満喫する旅。
ここにはたくさんの人の思い、願い、希望がある。
百の寺々の姿が、脳裏に浮かんでは消えていく。
五木寛之の「百寺巡礼」、ついに完結!
全国各地の百の寺々を巡るという計画は、果物が熟するように自然に私の心に実ってきた企てだった。
五十寺を過ぎ、七十寺をこえた頃から、私の中には、この旅は必ず完走できるだろう、という気持ちが日増しに強くなってきた。
いわば「他力の風」に背中を押されて、私たちは黙々と百寺を巡る旅を続けてきたのだ。
宗旨もちがい、宗派も異なるさまざまな寺であるが、流れの源流は一つである。私は日本人の心の根のところにひそむ、大いなるものへの畏敬の念を、なによりも大切なものと考えたのだ。
第十巻は四国・九州の寺々を巡って、長い旅の最後の章となった。
ふり返って奇蹟のように感じられる「百寺巡礼」の日々だった。

91:観世音寺  福岡県 境内に響く1300年の鐘の余韻
92:梅林寺   福岡県 托鉢の雲水に雪が降りしきる
93:善通寺   香川県 空海の生地に根をはる原日本のすがた
94:霊山寺   徳島県 遍路の旅の出発点「一番さん」
95:興福寺   長崎県 隠元が来日してはじめて訪れた唐寺
96:崇福寺   長崎県 海を渡る中国の人びとが信じた媽祖神
97:本妙寺   熊本県 加藤清正が眠る庶民信仰の寺
98:人吉別院  熊本県 命がけで守りつづけた「隠れ念仏」
99:富貴寺   大分県 自然のなかで育まれた仏教のかたち
100:羅漢寺   大分県 石段をのぼりつづけて満願成就

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