「百寺巡礼 第2巻 北陸」五木寛之 講談社文庫 562円 初版発行2008年10月15日
大和から始まった旅は、北陸の地へ。
こころの視界が広がり、見えないものが見えてくる。何百年も受け継がれてきた阿岸本誓寺の茅葺きの屋根、ギラリと白く輝く瑞龍寺の鉛瓦、職人の心意気を感じる木彫り伽藍の瑞龍寺ーそして、道元の寺、永平寺。日本海を望む至福の旅へ、さあでかけよう。
「北陸を旅して」
素朴な茅葺き屋根の寺も、堂々たる鉛瓦の大寺も、私にとってじつに新鮮で感動的な風景だった。
寺、という一点を通して、日本というもの、日本人のこころというものが、むこうから近づいてくるような感じがした。北陸十ヶ寺を巡り終えて、大和ー国のまほろばから眺めたこの国と異なる世界が、はっきりと見えてきたように思われるのだ。
第11番:阿岸本誓寺(石川) 茅葺き屋根にこめられた信心
第12番:妙成寺(石川) 城のような寺と異色の画家
第13番:那谷寺(石川) 罪を洗い流し、生まれ変わる寺
第14番:大乗寺(石川) 現代人のこころを癒す修行道場
第15番:瑞龍寺(富山) 壮大な鉛瓦とつつましやかな花々
第16番:瑞泉寺(富山) 門徒の寺内町から工の門前町へ
第17番:永平寺(福井) 生活こそは修行という道元の教え
第18番:吉崎御坊(福井) 蓮如がつくりだした幻の宗教都市
第19番:明通寺(福井) 武人の祈りが胸に迫る寺
第20番:神宮寺(福井) 神と仏が共存する古代信仰の世界
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平成29年5月10日(2017年)
北陸へは数年前に能登半島一周をしたが、この頃はまだ百寺巡礼にそれほど興味がなく、今思えば残念なことだった。まだ見ぬ北陸の寺々へ想いは馳せるばかりである。