「瀬戸内を渡る死者] アリバイ崩しの名著!

週刊誌の女性編集者北川真弓は、四国取材の途中、屋島で藤の花の下に倒れた若い女の他殺体を発見した。被害者は東京で夫とスナックを経営する人妻。そして離婚の寸前だったという。
真弓は週刊誌の記事にするべく事件を追う。浮かび上がった被害者の人生、そして意外な犯人とは?
旅情ただよう、アリバイ崩しの名編。
目次
プロローグ
藤の花の散る時
離婚の背景
”過去”の男
殺人未遂の前科
四日間のアリバイ
半同棲の”女”
三分間の乗り換え
死者の足音
エピローグ
 津村秀介氏の孤独な闘い
感想
津村作品は初めて読むことになったが、私の古い本棚から整理していて出てきた本である。
初版が昭和63年(1988年)とあり、当時380円だったことから34年前になる。
全く読んだ記憶がないので、買ってそのまま読む機会を逃し書庫に積んだのだろうと思われた。
今回、四国の香川県に旅行することとなり、旅のお供に選んだ一冊である。。
舞台は「屋島」での殺人事件から始まる。瀬戸大橋が開通し、本州と四国が陸路で結ばれたのがこの時期であった。
推理小説の中のアリバイ崩しとして、列車・飛行機等のダイヤのトリックが一般的だが、本作品はそれだけにとどまらず、別の視点での終結があったりと、これも一気読みする面白さがあった。
余談であるが、昔の本を改めて読むと、古い情報と思う反面、懐かしさや良き時代を顧みることができる。屋島でのお土産の話があるが、近頃では聞くこともなくなった「ケイセキ」が出てくる。別名「讃岐岩(サヌカイト)」で叩くと澄んだ音がでる。そういえば当時の名産でもあったと記憶を呼び起こせた。

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