「水煮 三国志」 中国古来の兵法を織り込みながら、経営戦略を学べるビジネス小説
成君憶(著) JMAN 1600円 初版発行2005年8月1日
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漢の初代天子である劉邦の末裔であることを知った劉備は一念発起して超難関大学に入学し、生涯の友となる関羽と張飛に出会い、いずれは三人で起業することを誓う。三人は卒業後、やり手ビジネスマン董卓のマルチ商法会社に見習い社員で入るが、そのやり方についていけず入社を断念、徐州電器に職を得る。同社社長の陶謙に気に入られた劉備は次期社長に推されて就任する。しかし、副社長として迎え入れた大学の同窓生、呂布に謀られて社長の座を奪われ、曹操がCEOを努める東漢公社に転職する。その後、同社を突然退職し、皇族商事を興して、劉表が社長を務める荊州電器の製造する「皇族」テレビの販売代行を行う。このとき、諸葛孔明を参謀に迎え、関羽、張飛らとともに、曹操の「英雄」テレビ、孫権の「小覇王」テレビに市場シェア奪取の戦いを挑む。
劉備が大学に入学してから中国三大企業の社長になるまでのサクセスストーリーの中に、「諸葛孔明の戦略」「孫子の兵法」「三略」「六韜(りくとう)」などの中国古来の兵法を織り込みながら、“経営戦略”“起業”“人材管理”“マーケティング”などの、ビジネスパーソンに必須の知識が知らず知らずのうちに身につくビジネス小説。それが『水煮三国志』だ。ビジネス書は1万部売れればヒットといわれる中国書籍市場で110万部を超える大ベストセラー。
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目次
第一章 起業七つの心得
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鷹の子としてのプライドを持つ
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天は自ら助くるものを助く
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”興味”が幸運を呼ぶ
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人に好かれる人間になる
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卵の殻を自分で突き破る
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全力を尽くしてみたかを考えてみる
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成功を疑うな!永遠に情熱をあふれさせよう!
桃園の契り・・第一章の教え
第二章 お坊さんに櫛を売る
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職探しの落とし穴
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櫛をお坊さんに売る
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九百九十九の櫛を売った呂布
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漏らされた秘密
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天罰は必ず下る
第二章の教え
第三章 劉備の桶の理論
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劉備の「桶の理論」
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効率経営を実現する組織を作る五つのポイント
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劉備は最高の桶職人
第三章の教え
第四章 経営はマネジメントゲーム
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陳登の正邪の論
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新社長誕生
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権威の重要性
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いかにマネジメントするか
第四章の教え
第五章 ニンジンの種類と使い方
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ウサギとニンジンの話
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ニンジンの与え方
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お金をかける必要のないニンジン
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ニンジン・システムで士気を上げる
第五章の教え
第六章 にわとりの母の悩み
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呂布との再開
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にわとりの母の悩み
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劉邦なればこその能力
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権限委譲の九つの障害
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呂布のニュース効果
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ニンジンと棍棒
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権限委譲の七つのポイント
第六章の教え
第七章 劉備の野菜市場理論
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呂布の衰亡
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死んでも浮かばれない呂布
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勤勉なふりをする六つの方法
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野菜を買うことと売ることの違い
第七章の教え
第八章 曹操の人材論
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ねこじゃらしの種から白菜は育たない
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地獄の特訓と梅
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英雄の性格の特徴
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なぜ呂布を管理できなかったのか
第八章の教え
第九章 関羽の性格
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関羽の顔はなぜ赤い
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貂蝉と、バーで
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明らかになった三つの理由
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英雄にBMWを贈る
第九章の教え
第十章 袁紹のマネジメント論
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社長としての威厳
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ご機嫌とり社員の作り方
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許攸、曹操のもとに走る
第十章の教え
第十一章 曹丕の不倫騒動
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社長令夫人の就職
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一目ぼれがゴシップを招く
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不倫は罪か
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新たな不倫問題
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兄弟の和解
第十一章の教え
第十二章 曹操の人材開発論
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劉備への恨み
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社長と呼ばれた犬
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猟師による猟犬の能力開発
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経営管理に必要な五段階
第十二章の教え
第十三章 劉備の職場での世渡り術
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劉備の笑顔の秘密
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清廉潔白なイメージを作る五つの条件
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会社での五つの心構え
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会社の嫌われ者にならないための五つの提案
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会社には美人が不要な五つの理由
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会場で倒れた美女
第十三章の教え
第十四章 諸葛孔明のタイムマネジメント論
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劉備、孫尚香に一目ぼれする
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中年男と若者の時間価値
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三顧の礼
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短期間で最大の利益を上げる方法
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タイムマネジメントの三つのレベル
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諸葛孔明の「バケツ理論」
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劉備、諸葛孔明を泣き落とす
第十四章の教え
第十五章 経営者をマネジメントする
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あばたもえくぼ
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論語の「愛而第一」
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「夫操縦術」で経営者をマネジメントする
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なぜ経営者をマネジメントするのか
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やるべきことは何か
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やるべきでないことは何か
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勇敢な部下とは
第十五章の教え
第十六章 勇猛果敢な部下になる
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勇敢な部下になる四つのポイント
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責任を全うする
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勇気をもって提言する
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チャレンジを恐れない
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経営者の過ちを勇気を持って指摘する
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退くべき時は潔く退く
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別離の夜
第十六章の教え
第十七章 諸葛孔明のマーケティングマネジメント
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諸葛孔明、マーケティング部を創設する
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劉備、博望披にて曹操軍に挑む
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博望披にて軍師初めて兵を用いる
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販促は一時的な戦術にすぎない
第十七章の教え
第十八章 顧客の感情をつかむ兵法
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女性と顧客の心理の共通点
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4Pそれとも4C?
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顧客の心をつかむ感情マーケティング
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性格がわかる心理テスト
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女性の気持ちがわかればお客の気持ちもわかる
第十八章の教え
第十九章 像を倒すアリの秘密
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なぜ最前列に座らなければいけないか
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アリが像を倒すことは可能か
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顧客ニーズ
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コスト
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利便性
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コミュニケーション
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女性心理と顧客心理
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表現する能力とは
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アリは巨像を倒せるか
第十九章の教え
第二十章 主客転倒の策
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販社は傭兵軍
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代理店が抱える十のリスク
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皇族商事に与えられた三つの策
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主客を転倒するラクダ兵法
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ラクダ兵法に決定する
第二十章の教え
第二十一章 曹操、荊州奪取を画策する
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目の悪い人の「足」、足の悪い人の「目」
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曹操のEメール
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劉表、曹操に折れる?
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ライオンの曹操、シマウマの劉表
第二十一章の教え
第二十二章 ブランド価値を高める経営
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荊州、曹操に呑まれる
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曹操軍の弱点
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曹操、赤壁の戦いに敗れる
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三国県立
第二十二章の教え
第二十三章 経営とは顧客満足である
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オーナーと経営者の違い
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誰が猫の首に鈴をつけるのか
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経営は実行力
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皇族電器と益州実業の合併
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顧客満足を実現する経営
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経営者のプレッシャー
第二十三章の教え
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訳者あとがき
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感想
実に面白い視点から書かれた本であった。450ページも全編、三国志の現代版といった感じで古典三国演義を基に魏・呉・蜀を3つの競合企業に例え、経営管理の理論を三国志の物語にそって解説し、大きく成長していく物語であった。
この類の成功ステップ、企業(起業)ステップ等は多々あるものの、三国志という古典を題材にした視点に感服させられた。
しかし、ビジネス書としての観点から読むには多少無理があり、きっかけ作りになる程度。私の場合、三国志という時代小説という面から読み始めたので、大変面白くあっと言う間に読み終えてしまった。