”吉川英治記念館”が平成31年3月20日で閉館してしまった 東京都青梅市

住所:東京都青梅市柚木町1-101-1
開館時間:10時00分~17時00分
休館日:月(祝日の場合翌平日)、年末年始
観覧料:500円
”「宮本武蔵」「三国志」などの作品で国民的作家となった吉川英治は、昭和19年3月、都心の赤坂区(現港区)からこの地青梅に移り住みます。 形の上では戦時下の疎開のようですが、この3年前、太平洋戦争開戦以前に既に家を購入するなどの準備をした上での決意の移住でした。吉川英治はこの吉野村の家で昭和28年8月までの9年5ヶ月を過ごしますが、生涯で一番長く住んだのがこの家でした。
時は、日本が敗戦に向かい、人々が大きな挫折と戦後の復興の苦難を味わっていた時代でした。
昭和20年、日本が敗戦を迎えると、吉川英治はその衝撃から「私は世の人々から忘れられたい」とまで苦悶した末に断筆。その後2年間、晴耕雨読の生活を送ります。それとともに地元の住民との交流を深め、俳句の指導や公民館建設への尽力などの足跡を残します。それは同時に、吉川英治自身にとっても、青梅の豊かな自然と住民たちの素朴な人情によって癒される日々でもありました。
やがて吉川英治は執筆を再開し、畢生の大作「新・平家物語」をこの地から世に問うことになります。
吉川英治にとって青梅は、敗戦の挫折を乗り越え、再び作家の道を歩み始めた《再生の地》となったのです。昭和40年、吉川英治の業績を顕彰するため財団法人吉川英治国民文化振興会が発足し、吉川英治賞が設立されました。
その後、この財団によって青梅の吉川英治旧邸の敷地内に、昭和52年、吉川英治記念館が開館しました。
 『宮本武蔵』『新書太閤記』『三国志』『新・平家物語』『私本太平記』といった戦前・戦後を代表する歴史小説。人々を熱狂させた『鳴門秘帖』『神州天馬侠』などの時代小説。絶筆となった『新・水滸伝』。それらの作品の原稿やゲラや挿絵、初版本などの他、数多く書き残した書画類を展示しています。”
平成31年3月10日の日曜日。吉川英治記念館がこの20日をもって閉館すると聞き、慌てて訪館する。普段、ここを幾度かは通っていたが、いつでも来れるという安心感で寄ったことがなかった。これで見納めということもあり、すごく残念である。
吉川英治、私にとっては遙か昔に一人京都の下宿で朝から晩まで読みふけった時代があった。吉川英治文庫として講談社から発刊され、その本は今では黄色く変色してしまったが、私の本棚に残っている。そのうちの一冊を久し振りに開いてみると、昭和50年8月第一刷発行とあり、全156巻とある。夢中になって寝食を忘れて読んでいた。「剣難女難」から始まり「天兵童子」まであり、新刊が発行されればすぐに買いに走ったものである。中でも「新編忠臣蔵」・「親鸞」・「宮本武蔵」・「三国志」・「源頼朝」・「新平家物語」などは記憶に鮮明に残っている。
この日は丁度、青梅の梅林祭りが行われ、記念館の閉館のためか訪館する人が絶え間なくいた。私と同世代以前の人ばかりと思いきや、意外に若い人も別れを惜しんで来ていた。
館内は大変整備され、母屋・書斎そして展示室・庭と巡り、若かりし日の私とダブりながら有意義なひと時を楽しんできた。
私の所蔵するこの本は日焼けして黄ばんではいるが、いつか隠居して時間を持て余すことがあれば、また一冊づつ懐かしみながら読んでみたいものである。
なお、この講談社シリーズは以下に記した。
剣難女難
坂東侠客陣
神変麝香猫(全二巻)
鳴門秘帖(全三巻)
万花地獄(全二巻)
江戸三国志(全三巻)
如来也
貝殻一平(全二巻)
処女爪占師
恋ぐるま(全二巻)
金忠輔・一領具足組
さけぶ雷鳥
江戸城心中
かんかん虫は唄う・色は匂えど
牢獄の花嫁
春秋編笠ぶし・菊一文字
檜山兄弟(全三巻)
隠密七生記
紅騎兵(全二巻)
燃える富士
お千代傘
あるぷす大将
女人曼陀羅(全二巻)
恋山彦
修羅時鳥
きつね雨・彩情記
松のや露八
虚無僧系図
新編忠臣蔵(全二巻)
青空士官・夜の司令官
親鸞(全三巻)
遊戯菩薩・飢えたる彰義隊
宮本武蔵(全八巻)
自雷也小僧(全二巻)
無明有明(全二巻)
善魔鬘(全二巻)
愛獄の父母
魔粧仏身
悲願三代塔
江戸長恨歌
新書太閤記(全十一巻)
新版天下茶屋
三国志(全八巻)
源頼朝(全二巻)
剣の四君子・日本名婦伝
梅里先生行状記
上杉謙信
黒田如水
大岡越前
高山右近(全二巻)
平の将門
新・平家物語(全十六巻)
私本太平記(全八巻)
新・水滸伝(全四巻)
江ノ島物語(初期作品集)
短編集(全八巻)
戯曲新・平家物語ほか
忘れ残りの記
随筆 宮本武蔵
随筆 新平家
随筆 私本太平記
折々の記
川柳・詩歌集
書簡集
神洲天馬侠(全三巻)
ひよどり草紙
龍虎八天狗(全二巻)
月笛日笛(全二巻)
魔海の音楽師・風神門
胡蝶陣
左近右近
朝顔夕顔
やまどり文庫・母恋鳥
天兵童子(全二巻)
讃母祭(全二巻)
井伊大老
剣魔侠菩薩(続・初期作品集)
草思堂随筆
書斎雑感(講演集)・・・全巻完結
なお、同館は青梅市への寄付として受け入れ、令和2年(2020年)9月7日「青梅市吉川英治記念館」としてオープン再オープンした。

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です